泛YAPONIA民間故事-摸彩比丘尼譚

野戦之月海筆子
2012年冬・台北――「泛YAPONIA民間故事-摸彩比丘尼譚」
2012年冬・台北――「泛YAPONIA民間故事-摸彩比丘尼譚」上演

 2011年秋、東北石巻牡鹿半島被災地でうまれたテント芝居「汎やぽにあ民話ーーフクビキビクニ譚」は、タイトル を「泛YAPONIA民間故事??摸彩 比丘尼譚」に替えて、2012年2月に台北市南部の川原にある「渓州部落」(原住民アミス人集落)でテント公演されます。
 2000年代、野戦之月は台湾海筆子と様々に連携しつつ、時に共同で公演を実現してきました。昨年9月の石巻牡鹿版公演においても10名の海筆子メンバーが台湾より参加し、共同で「フクビキビクニ譚」を製作上演しました。
 ただし、今回の台北公演は、台湾海筆子メンバーが演員(役者)としては登場しない東京横浜版をもとに行います。海筆子メンバーは台湾公演のプロデューサー、裏方スタッフとしてこの公演を支えます。
 野戦之月が台湾に初めて登場したのは、1999年の夏、台北の西部三重にある淡水河の川原でした。

芝居の終了直後、舞台に飛び出した老人が、芝居への賛辞として「大日本帝国万歳!」という絶叫を、私らに贈ってくれました。
 その衝撃から13年、再び、日本人および日本在住者、日本語のみによるテント公演が、今度は台北南部の川原にある原住民アミス人集落で行われます。この 土地はすでに政府の再開発計画によって立ち退きを余儀なくされている場所です。長い抵抗運動の末、近年、立ち退き案の妥結が行われました。

野戦之月の今回 のテント公演を最後に、この土地は地形もろとも姿を変えます。山間の故郷を追われ都市へと流動化させられてきたアミス人が築いたなけなしの領土、そしてい ままた、この集落での暮らしの歴史は、いっさいの痕跡を残すことなく消え去ることになります。
 「フクビキビクニ譚」という芝居は、流動化を余儀なくさせられるものたちの土砂崩れ的な現場での最後の想像力の発動であり、その強制的な流動化を反転させて我がものにするための私らの術を探る芝居です。

いわずもがな、異郷台北において、私らは被災地から引き継いだ遺志と意志において、新たな「場」を発想、発見、発明しようとしているのです。