野戦の月楽団

桜井李早 、 中尾勘二 、 関島岳郎 、 大熊ワタル 、 小間慶大、桜井芳樹 、 坂本弘道、吉野繁、川口義之、こぐれみわぞう

野戦の月94-99

¥3,456

私たちは10年もかけてようやく10年前にたどり着いた。<予兆>と<記憶>の時制を自在に翔る前未来音楽。転型期10年をひたすら凝視し続けた「野戦の月」。その世界記憶の深層を物語るドラマに、創意に充ちた珠玉の楽曲群と白熱する最高水準の演奏をもって並走したものたちこそ最尖端音楽集団・野戦の月楽団だった。ついに音楽でしか表し得ない同時代の高鳴る鼓動をつたえて胸迫る究極の尖端的傾向音楽集。

CD1
1.バンブーゴスペル
2.Bamboo F.
3.Bamboo I.
4.Bamboo D.
5.セルビア風肉屋の踊り(TRELLO HASAPOSERVIKO)
6.広東オペラ・序曲 小竹売り
7.広東オペラ・阿Q正伝
8.ゴーレムのタンゴ
9.アンナ・プラネットの唄
10.夜の虹(l)
11.野戦の月
12.バンブーアークのテーマ
13.水からの通信
14.青髭の憂鬱
15.謎の工事人夫団の唄
16.月と足跡
17.カジャのテーマ
18.夜の虹(ll)
19.幻灯島、西へ
20.耕す者への祈り (LA PLEGARIA A UN LABRADOR)

CD2
1.improvisation
2.耕す者への祈り(LA PLEGARIA A UN LABRADOR)
3.眠りトンネル、サブテーマ
4.祈りトンネルのテーマ
5.キザシ
6.99530
7.theme from the EXODUS
8.EXODUS、サブテーマ
9.夜の虹
10.Bamboo I.
11.Bamboo D.
12.我方地方
13.幻灯島、西へ
14.眠りトンネルのテーマ

関島岳郎presents 【星空音楽會 第十七夜】「水からの通信」(作曲 大熊ワタル) 
大熊ワタル(clarinet)桜井芳樹(guitar)関島岳郎(tuba) 
2015/03/20 ナチュラルカフェ コンポステラ

Snare & Slave Blues 03+06

¥2,057

テント芝居とは「テントを劇場に模して、その内部で演劇をする行為」だと思われがちだが、実はそうではない。テントという構築物は劇場という容器がもつ安定感をもたないし、ときに劇場という概念と敵対的にならざるをえない。また、テントが仕切ってしまう場所は、簡単な「内部」ではない。なんらかの「越境」を企図して構想され準備された芝居が、周囲の騒音、風雨・警察などの具体的な不安定感と一つになって「外部」を招いてしまうからだ。
 したがってテントは「内部」と「外部」が否応なく接触し葛藤し交渉する場である。そこでの行為(観客の観を含めて)はすべて、消滅し蕩尽することによってのみ、ある種の「場」を現出させる。その「場」をとりあえず「異邦」と呼んでみる。
 野戦の月楽団の音楽はすべて、この「異邦」という領域において鳴り、「異邦」を作り出すことによって一度消滅したのである。したがって、このCDにおいてそれぞれの楽曲・演奏は聴取者とともに新たな「異邦」を創出するだろう。ただ、それもまた「異邦」であるとすれば、共通するのは「緊急避難」という現場性である。というのはこれらの楽曲・演奏が向かい合った「外部」とは緊急避難してくる出来事、モノ、ヒトビト、時間帯だからだ。
 例えば、『阿Qクロニクル・罠と虜』における「阿Qマーチ」(作曲/小間慶大) は、それまでの舞台の底が割れて、地下室が現れてくる直前に鳴った楽曲、つまり「異邦」としての地下を引きずり出した楽曲だが、仰山ではない透明性において真に「外部」を招来したように思われる。
 また、「Snare&Slave Blues」(作曲/桜井芳樹・桜井李早) は、逆さまになった映像 (日中戦争期の戦乱から中国民衆が逃避する模様) とともに鳴らされた。その直後、伊井嗣晴が逆さまになって落ちてきて逆さまのまま科白を吐く。この一連の場面では、具体的な緊急避難が表象されているには違いないのだが、現実的悲惨に劣らないユーモアが踵を接して畳みかけてきて、もはや分けようがない「異邦」の場が現れてくる。「避難民」であることを表象することで、「避難民」でしかない私らの位相から抜け出てこようとするのだ。
 逆に、『野草天堂・海峡と毒薬』のテーマ曲「strait and poison hymn」(作曲/桜井芳樹) では、「緊急避難性」は逃走としてではなく、果てもなく繰り返される出来事の中に一滴の毒薬を垂らすような行為として示されている。海峡という歴史的な異郷が、いまここの「異邦」となって現れてくる。
 大熊ワタル作曲作品のすぐれた抒情性は、実は叙事詩への返歌である。「放浪花」は芝居の本番では、ストリートオルガンの生音に接続されて鳴らされた。「植民地アメリカ」についてのばらちづこの科白と相まって、アメリカを真に「異邦」としたように思われる。
 これらの音楽・演奏こそが、まさにテント芝居の「異邦」性を決定づけているのだ。
(桜井大造)

1.阿Qマーチ
2.DALA-DALA(i)
3.高砂のハバネラ
4.DALA-DALA(ii)
5.Snare&Slave Blues
6.放浪花
7.陀羅陀羅
8.Strait and Poison hymn
9.辛苦之王
10.吶喊ワルツ


怒りの涙

¥2,057

伝説のテント劇団「曲馬館」から派生した「風の旅団」、そのリーダー桜井大造が1994年に旗揚げし現在もなお活発に活動を続け人気を集めるテント劇集団 「野戦之月海筆子」。本作は、2007年に台北、東京、北京で公演された『変幻 痂殼城』、2008年に東京の井の頭公園で2週間にわたって公演された『ヤポニア歌仔戯 阿Q転生』、同じく2009年の『ヤポニア歌仔戯 棄民サルプリ』、以上3公演のオリジナル劇中音楽集をまとめた作品。 ©RS

1.怒りの涙
2.阿Q転生
3.傷痕のバラード(寂)
4.うみにいこう
5.パートタイマー・ワークソング
6.棄民の歌
7.傷痕のバラード(賑)
8.変幻痂殻城のテーマ

2020年4月26日