バンブーアーク 阿Q之陣

月下の野戦第二弾  作・演出 桜井大造
1995年8月 東京・中野、10月 小倉 広島

暴風か!? 預言か!?
 沈黙の火ぶたはきられ、
 阿Qたちの継ぎ接ぎのことばは、
あなたの横隔膜に共鳴して唄となる・・・。

Qを巡って・・・

人の移動についてUターンやJターンと並んでQターンという現象がある。大都会を経て生まれた故郷に戻ったヒトが、そこからまた近在の都会へと移動するこ とを指すらしい。このQターンを空間的にではなく時間的にとらえれば、ヒトというのは円還する時間O(オー)の外側に失速して飛び出したQの右端の点であ るとの無手勝な解釈ができる。つまりヒトの中にあって歴史とはQターン現象を呈するのだ。“個人はいつも古くさく、時代だけが新しい”といった嘆きや“時 の流れに身をまかせ・・・”と唱うときの何とも共感を誘ういぎましさが“Qとしてのヒト”を証しだてているよに思える。
 さて、しかしながらこの芝居に登場するのは、処世訓や人生論をカタツムリのように背負った“Qとしてのヒト”ではない。もともと時間Oを持たぬモノ、Qのしっぽ部分だけの存在、時間の巻貝に潜み逆ねじを食らわす、“逆Qとしてのヤドカリ”-阿Qの出番だ。
 いくどとなく歴史からつまみ出され生地から追放された阿Qたちは、だからこそ翻って、いくどとなく誰かさんのQを盗み、それを引きずり廻して渉猟し続ける。私らのバンブーテントもすでに彼らに盗まれて阿Qの陣中にあるのだ。
1995年からは、プロデュース公演をやめ、ゆるやかな集団性をもった持続的なテント劇集団となる。

1995年7月、『バンブーアーク・阿Qの陣』を東京中野駅北口に従来の単管パイプのテントではなく、竹組みによる特設テントでの公演。

役者・香乃カノ子 ばらちづこ 伊東六八 桜井大造 清水浩一郎 根岸良一 伊牟田耕児 伊井嗣晴 山内淳 古崎くるみ 左武狼
舞台監督・村重勇史 舞台美術・宮明夫 照明・ソライロヤ 音効・新井輝久 舞台協力・遠藤弘貴 
制作・押切珠喜
音楽・大熊亘 久下恵生 小間慶大 桜井芳樹 関島岳郎 中尾勘二 西村卓也 吉野繁

広島、北九州では「広島野戦の月」「北九州野戦の月」がそれぞれ結成され、制作・バンブーテント設営を担当し、10月に広島、北九州小倉でもバンブーテントにて公演を行う。